皆様はご存知でしょうか?スズキのアクロス。250ccです。何を隠そう、ガソリンタンクに見える部分はメットインBOXでございます。じゃあガソリンタンクはと言いますと、シートの下にございます。
お客様よりお電話を頂き、内容を伺わせて頂くと、「セルモーターはしっかり回り、一瞬エンジンは掛かるけれども始動までには至らない」といった内容で、任意保険付帯のレッカーサービスにて搬送されてきました。
車両を確認すると、お客様のおっしゃる通りの状態でございました。一瞬エンジンは掛かるんですが、そのまま吹け上がらなくてストンと止まってしまう。エンジンが掛かる為の3要素『良い火花、良い圧縮、良い混合気』を点検して行きますが、スパークプラグはお客様ご自身で交換してみたと言う事でしたが、私はそんなことは関係無しにプラグもチェックします。
プラグキャップからの火花はしっかりと飛んでいましたが、スパークプラグがしっかり締め付けられておらず、ゆるゆるのプラグもありました。しっかり締め付けられていないと『良い圧縮』が得られません。
しかしながら、その辺もチェックした後も症状は変わらず。今度は『良い混合気』を見て行きます。
まずはエアーフィルターですが、特に目立った汚れは見られず。フィルターBOX内にはエンジンからの吹き返しやブローバイガスと一緒に流れてきたエンジンオイルでベタベタでしたので、エアクリーナーBOX内も清掃します。
そうこうしてる内にちょっとセルを長めに押していましたら、何とかエンジンを始動する事が出来てしまいました。
これといった原因が特定できない内に改善してしまうと言う、整備士としては一番嫌なパターンです(-_-;)
『圧縮』と『点火』が問題無ければ、残るは『混合気』なので、年式的にもキャブレターが怪しい所なのですが、一応エンジンは掛かった旨をお客様にご相談させて頂き、念の為にもキャブレターのオーバーホールを行わせて頂く事となりました。
結果的には、これが主原因だったのですが、キャブレターを開けてみてビックリ!フロートチャンバーの中は錆だらけでした。ジェット類等の腐食もかなり進行しています。
では、この錆はどこで発生したのかを考えてみると、キャブレターはアルミ製ですのでこんな赤茶けた錆は発生しませんので、ガソリンタンク内で発生した物がキャブレターに運ばれて来たものなんです。アクロスのガソリンタンクはシートの下にあると言う特殊な構造になっていますので、タンクの内部はほぼ見る事が出来ないのですが、燃料タンクキャップを外した所から覗いて見える部分だけ見ても、良く良く見れば過去に錆が発生していたような痕跡が見られました。
その事をお客様に伝えると、やはり過去にエンジンが掛からなくなり、原因がガソリンタンク内の錆だったようで、他店でガソリンタンク内の錆取りを行ってもらったとの事。
先にも申し上げましたが、アクロスのガソリンタンクは複雑な構造の為、、錆取りを行っても確実に内部が綺麗になったかを確認する事は難しいんです。もしかしたら綺麗に錆取りが出来ていたかもしれませんが、結果として錆が再発しているので、再度錆取りを行うとタンクに穴が開いてしまう可能性も考えられます。
幸いな事にメーカーに確認した所、新品のガソリンタンクがまだ存在するとの事!お客様に相談の上、キャブレターのオーバーホールと新品のガソリンタンクに交換する事となりました。
長くなりましたので、続きはその②へ!