一般修理 ホンダ クレアスクーピー 2001年モデル

走行中に突然電装系が消えてしまい走れなくなってしまったと、お客様より修理のご依頼を頂きました。

もう少し詳しく伺うと、バッテリー近くのヒューズが切れてしまっていて、お客様がヒューズを予備の物に交換したのですが、メインスイッチをONにした瞬間に再び『パチッ』とヒューズが切れてしまうとの事。
確認してみますと、まさにその通りでした。

ヒューズ切れの原因となると、車両全体に引き回されている配線の中で、どこかの+(プラス)配線が-(マイナス)の部分に触れてしまって、ショートしている・・・という状況です。そのどこかを探さなければなりません(+o+)

この状況でいくらくらい掛かるのかはお伝えできませんので、とりあえず車両をお預かりさせて頂き、診断を行ってお見積りのご連絡をさせて頂きますとお伝え致しました。

簡単に『診断』と言っても、どこまで何を外したり、分解したりしないといけないかも現時点では分かりません。
つまり診断するだけでも、色々と手を加えてあげなければなりませんので、仮に診断した結果、修理代のお見積が『7万円です』となってしまった時で『そこまで修理代がかさんでしまうのであれば、買い替えます』となっても診断にかかった費用は掛かってしまいます。誠に心苦しい話ではあるのですが、ご了承頂き診断を開始させて頂きました。

ただ実は昨年も、別の方のスクーピーで(同じ原因かどうかは分かりませんが)ヒューズ切れの修理を行っているんです。インターネットでも検索しますと、同じヒューズ切れでの修理事例がいくつか出てきます。

と言う事で、まずはその一番怪しい部分をチェックして行きます。
それが、『左ハンドルスイッチBOX』です!
結果的にこの車両も、まさしくこれが原因でした。

では何で『左ハンドルスイッチBOX』が原因でヒューズが切れてしまうかと言いますと。
このスイッチBOXの中に、ヘッドライトのHi/Low切り替えスイッチがございます。
その切り替えスイッチの基盤に溶着されている配線の半田が溶けて、それがハンドルバーに接触し、ボディーアースの(-)マイナスとショートしてヒューズが切れるのです。

さらに深く追求して行きますと、何故『切り替えスイッチの基盤の半田が溶けて』しまうのか、です。
これにはいくつか考えられますが、基本的にはヘッドライトの点灯に関わる不調が存在していた、と言う事だと思います。ネットで同じ症例のスクーピーを調べると、ヘッドライトバルブの周りの反射する所が黒く焦げていた、とかがありましたが、この車両のヘッドライトバルブやレンズは綺麗でした。ただしHiビームは点灯するのですが、Lowビームは点灯しません。バルブを観察しても、内部でフィラメントが断線している様には見えませんので、配線のどこかで断線や接触不良を起していると考えられます。


で、やっと左ハンドルスイッチの内部です。
やはり黒い配線を溶着している部分の半田が溶けてます!
下画像の新品と比べると一目瞭然です。

で、もっと良く見て頂くと、半田が溶着されている基盤が湾曲しているんです。

その左側の白い樹脂部品で、ヘッドライトバルブのHi/Lowの切り替えを行うのですが、湾曲している所で接触しておらず、Lowビームが点灯していませんでした。

最終的な考察ですが、大元の原因はヘッドライトHi/Low切り替えスイッチの基盤の(経年劣化による?)歪みと考えます。歪みが大きくなってきた所でLowビームの接触不良が断続的に発生します。接触不良を起こす瞬間にはフューズが切れる時みたいに『パチッ』と火花が飛ぶんです。これを繰り返す事により黒い配線の部分が発熱し、半田を溶かしてしまった。溶けた半田がハンドルバーに接触し、ショートしてヒューズが切れる・・・。
といったところでしょうか。

お客様にこの事をご説明させて頂き、基盤が歪んでいなければ、半田の修正だけで済ませられたかもしれませんが、今回は、左ハンドルスイッチBOXを新品交換させて頂きました。

この度は整備のご依頼、誠に有難うございました。